「池田屋で斬りまくった時はかなり疲れましたが、
まだこの通り元気です」

と総司は相撲の四股を踏むまねをして式台の板床に音
たてた。
甲陽鎮撫隊に同行した沖田のエピソードとして
佐藤家に残された文書で記録されている。

□さて、その式台
暗い畳み部屋から、板敷きは光沢を放ち、ドラマを
演出するにふさわしい、舞台装置であった。

佐藤家に残された伝聞として、彦五郎(12代)の長男である「俊宣(としのぶ)(13代)」が纏めた「今昔備忘記」の
記録を基礎に同じく佐藤家の�c(15代)氏が「聞きがけ新選組」で紹介されている。
沖田の甲陽鎮撫隊参加の否定節もあるが、以下の記録から、総司が此処まで同行した事を信じたい。

�@府中市若松町(現在)にあった関田庄太郎家は甲陽鎮撫隊の野戦病院として準備し、沖田が横になった。
・・・・「知られざる沖田総司」「林 栄太郎」

�A土方副長、沖田、永倉等を呼び集め、甲陽鎮撫隊として出兵計画を伝える。
・・・「新選組顛末記」「永倉新八」

�B二月二十八日に隊士七十名に出陣手当てが隊士一人に十両、局長付隊士に五両が支給され、
「沖田渡ス」として十両が明記されている。・・・・「金銀出入帳」
以上、新選組年代記「沖田総司は甲陽鎮撫隊に同行したか」「菊地明」より

しかし、その総司の示唆行為も叶わず。
皆と一緒に甲陽鎮撫隊の一員として甲府へ目指すことは出来なかった。
「それはね、近藤勇が沖田にお前は病人だ、病人は病気を直すのが
役目だ、新選組のことは心配するな、といって無理に関田家へ預けたんだ」

近藤勇にさとされ、府中の関田庄太郎家に返され病身の総司はそこで横た
わったと言う。

◇解説

□沖田総司のエピソード